戸田市長と名刺交換する一矢さん。 2024.7.14、戸田市文化会館で「戸田市誰もが住み続けられる街を目指す会 第一回イベント」として「道草」上映会とシンポジウムに一矢さんとお父さんお母さんと介護者の大坪で登壇させていただきました。 パネラーの1人として登壇した一矢さんでしたが、上映後のお父さんや大坪による講演と質疑応答の1時間ほどの間、壇上で自分のポジションにしっかり座ってその存在感を示してくれていました。それだけでも大変な事と思いますが、最後にマイクを向けられると皆に向かって頭を下げ「ありがとうございました」と少し聞き取りにくいかったけど、しっかりした声で挨拶をしていました。 アパート生活開始当初は市の職員や関係事業所などで行われた支援者会議でも、5分として落ち着いてその場にいられなかったのに、全く驚くべき変わり様です。 私(大坪)も今までにない一矢さんの振る舞いだったので驚いたのですが、やはりこの一言でしっかり自分の置かれている立場や役割といったものに対して、かなり高い意識で自覚を持っていると言うのがはっきりしたと思いました。 成長と言うと何か上から目線で嫌ですが、もともと一矢さんにはそれだけちゃんとした意識があると言うことだと思います。しかし、そのことに周りが鈍感で気づかない、ただ重度の知的障害者だと言うだけで、頭ごなしにわからないだろうとかできないだろうといった思い込みや、その元々持っているであろう高い意識に気づけなかった周りの傲慢さがあったと言うだけの事なのだと思います。改めて信頼と気づきを持った継続的な眼差しを持った関わりの大切さというのを思い知らされました。また、そうした事実に謙虚に気づき、周りがしっかりそのことを自覚していく…。
事件発生当初、職員からの要請で命がけで携帯電話を取りに行った勇気ある行動一つとっても、ただ職員に言われたから言いなりで動いただけとはとても思えません、にも関わらず当時、責任ある立場の人から、そんな一矢さんに感謝なり、ねぎらいなり、謝罪なりの言葉が本当はあってしかるべきだったろうと思いますが、結局、一矢さんにそうした声かけをしてきた人は1人としていませんでした。 こうした事実だけを考えても、やはりあまりにも本人に人格を尊重した関わりというのを今まで(私を含めて)周りがしてきていないのではないかと言うことを再度考えさせられるばかりです。この「ありがとうございました」の一言、とっても重く、深く、そしてまた考えさせられる大きな気づきを与えてくれました。 また、会場にお集まりいただいた皆様の熱心な質問やお声かけには本当に感動しました。この縁を大切に、これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました。
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