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​アパートでの自立生活。施設での暮らしから離れて、介護者や応援してくれる皆さんとの交流を通して、生き生きと自分らしく生きる暮らしを模索しています。障害者施設19人殺害事件を生き延びて 一矢さんの“わが家”一矢さんが支援者付きの一人暮らしをしながら、どんな日常を送っているのか、イメージが湧かないかもしれません。ここでは普段の生活の一片を写真とともに紹介いたします。

​アパート暮らし開始直後の一矢さん、お気に入りの「かずやんち」でくつろぎのひと時

実家でもなく施設でもなく、気ままなアパートでの一人暮らし。何をするか、何をしないか、何をいつ食べるか、寝る時間はどうするか、etc..日々の何気ない事を自分の気持ちや意思で選んで生活しています。私達にとってはごく当たり前のことかもしれませんが施設生活が35年にも及ぶ一矢さんにとってはやっと手にした自由です。

「当たり前」が尊重されること、「一人の人間として」尊重されること、これらは暮らしの中でとても大事なことです。出かけたり、買い物をしたり、誰かと会ったり、家でだらだらしてみたり、介護者のサポートを受けながら、望む場所で、ごく当たり前のことを当たり前に、「普通」の暮らしを送っています。

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スーパーに行くつもりで出掛けたものの、途中で「マクドナルドに行く!」となって、隣駅まで歩きました。

​この日は近所のスーパーで買い物、食材を買って来て、

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この日は「ベルクに行く!」と近所のスーパーに買い物に出かけることになりました。外出の際には、マスクを着用されます。

自立生活では自身によるプラン変更は当たり前です。入店前に手指消時をして、ハンバーガーを店内で頬張って、外食を満喫しました。

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​自分のペースでゆっくりとテレビを見ながら夕ご飯。

ご飯の後は、のんびりマイペースでお風呂タイム、烏の行水の時もあれば、1時間くらい鼻歌まじりで湯船に浸かっていることもあります。私たちには当たり前ですが、これもやっと手にした自由です。

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「自分のテレビ」もやっと手にした自由です。大好きな「笑点」を見る一矢さん。

ソファにはTVのリモコンが決まった位置に置かれています。いつも「6h観たい!」「5chみたい!」と、自身でチャンネルを合わせています。卓上のタブレットを使って、ご両親とリモートでお話ししたり、お気に入りのアニメを観たりもされています。

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窓辺には一矢さんがご自身で作られた陶器に花や植物を植え、写真が飾ってあります。

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​これから出掛けるのにズボンの位置が、なかなか決まらない一矢さん💦

一矢さんは窓の方角を眺めて佇むことが良くあります。ご家族などの写真を見ては「お父さん、お母さん、お姉さん」と名前を声に出してみたりされます。

「かずやしんぶん」を配ったり、散歩をしたり、声を出したり、介護者との信頼関係を深めつつ地域で普通に暮らしていくことで、除々に近隣の方々とも繁がりが出来、行動範囲も広がって行きます。

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​一矢さんの自立生活の様子をご紹介する「かずやしんぶん」

座間市障害福祉課の前のチラシ棚にも置いてもらっています。

座間市役所に転入届を出しに行く一矢さん

​気の向くままに近くの公園に散歩がてら桜を見に行く

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​「つかれちゃた~」ズボンの位置が決まらず、結局つかれてしまう一矢さん(笑)

​「お腹が痛いよ~」と、今でも時折り、訴えがあります。そんな時は、静かにお腹に手を当ててあげたり、スキンシップを大切にした対応をしています。

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​お腹や背中をさすってスキンシップをしていくうちに、いつしかスヤスヤ…「見守り」は深く長い信頼関係の積み重ねが大切です。

近くに住むご両親が、時々散髪にきてくれます。

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​さっぱりしてくつろぎのひと時

自立生活開始後、初めてのお正月。

​同じ座間市内にあるご両親のお宅でお正月を迎えることができました。以前クリーニング店を営んでいたご実家では、不穏状態で落ち着いて過ごすことが出来ずにいましたが、お店をたたんで引っ越しをしたお宅でゆっくりと一緒にお正月を過ごせました。一緒にお正月を過ごすのは、なんと30数年ぶりだそうです。

​ご両親宅で過ごすのも以前のように不穏状態になるのではとの危惧がありましたが、介護者とご両親と丁寧に寄り添いながら、楽しく過ごすうちに徐々に大丈夫になっていきました。

ご両親との間に徐々に新たな距離感をもった関係が出来上がっていきました。

​自分のアパートという安心できる地域での居場所と介護者という家族以外の支援者との信頼関係を得る事で、

48歳の誕生日をご両親宅でお祝い。

ご両親宅にも慣れてきたところで、自立生活開始後初の誕生日(2021.3.26)48歳のお祝いをしました。

​取材やお祝いに来てくれた皆さんと交流、楽しいひと時を過ごしました。

一度は親元を離れて、自分なりに納得できる生活を出来るようになって、また、新たな距離感をもって親との関係を見つめ直していく余裕が出てくる…それが自立生活ですね、私たちと同じです。

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